拍手に上げてたテキストのログです。タイトルクリックで本文ジャンプ。


「緊急報道特集24時〜月の国の王子の実態に迫る〜その時、特派員は驚いた!」
 (二期設定のエクレイ)
「少女とミルクと恋心」(ブラファ)
「銀色つばめ」(二期設定、十三話後の青赤→シェイド)
「恋とはどんなものかしら」(ファイン)
「放課後の音符」(二期設定、ふたごとシェイド)








「緊急報道特集24時〜月の国の王子の実態に迫る〜その時、特派員は驚いた!」

「えっと、お名前から教えてもらっていいですか?」
……シェイド。
「シェイド、いい名前ですね。このロイヤルワンダー学園では何を学びたいと思ってますか?」
将来国を継ぐための資格と、あとは……医学、かな。
「まだ入学したばかりなのに、もうちゃんとした目標があるんですね。部活動はもう決めました?」
今のところはどこにも入部するつもりはないが、一応、適当に見学してまわってみようとは思ってる。
「この学園は部活動も盛んですから、いろいろな部をまわってみるのもいいかもしれませんね。
 ええっと、好きな食べ物は?」
……別に。特にない。
「あら、前にバナナが好きだってどこかで言ってなかった?」
知ってるなら聞くなよ。
「インタビューだもの、いろいろ質問しないと練習にならないでしょう?うーん、だいたい
 こんなものかしら……あ、そうそう。好きな女の子のタイプとか、今現在気になる子はいますか?」
それのどこが学園ニュースなんだ?
「いいじゃない、学園のアイドルインタビューの基本よ。それでそれで、いますか?いませんか?」
……ふしぎ星のおひさまの国のプリンセスの姉のほう。
「へ?」
聞こえなかったのか?

「……………………あの、それって、どういう」
走れば転ぶし運動神経はトロいしダンスを躍らせればパートナーの足を踏む、一人だけでも
騒動の種のくせにふたごの妹とセットになったら台風の目だ。危なっかしくて見てられない。
「――――――」
……ってぇ!マイクで殴るなよ!
「手加減したわよ!何でいつもいつも、シェイドってばそう一言も二言もよけいなの!?」


誰のせいだと思ってるんだ、という台詞はさすがに八つ当たり以外の
何物でもないので自重した。


初代拍手。アナウンサーレインと、練習台にされておかんむりなシェイド。





「少女とミルクと恋心」

ねえ、どうしてあたしの背はブライトに追いつかないの?
あたし、牛乳も好きだし、背もちゃんと伸びてるんだよ。

本当に不思議そうに君が云うものだから、僕はその可笑しさを笑えばいいのか
その可愛らしさを愛しく思えばいいのか分からなくなってしまう。


それは多分、君が女の子で、僕が男に生まれてきたからだと思うよ。

そう返事をしたら、あかい女の子はつまらなそうに、ふぅん、と云った。

女の子って損ばっかり多いような気がする、なんて君は云うけれど。

君が女の子として生まれてきてくれて良かった、とか本気で考えていたりする僕の本心を知ったら、
君は笑うかな。



初代拍手に追加で上げたブラファ。果たしてファインがブライトに恋心を抱く日は来るのだろうか。





「銀色つばめ」

私の妹が身の回りのことに気を遣わないのはいつものことだけど、
お風呂の後に髪をちゃんと乾かそうとしない癖だけは、直させないといけないと思う。
やっと風邪が治ったばかりだっていうのに、もう。

「ファインったら、ちゃんと髪は乾かさないとだめだっていつも云ってるでしょ。また風邪ひいても知らないから!」
そう云いながら、タオルで赤い髪を拭いてやる。
朝から晩までずっとお下げ頭なものだから、妹の髪にはすっかり癖がついてしまっていた。
「だって、洗った後の髪って冷たくてきもちいいんだもん!それにさ」

レインが乾かしてくれるもんね。

ベッドに腰をかけた妹と、膝立ちになってる私の頭の位置の差は頭ひとつぶん。
私を見上げる妹の顔はいつも通りの笑顔で、いつも通りの私の大事な妹。

ねえ。そんなこと云ってても、いつかあなたはあのときのように
私の手を振り解いて、あの藍色の髪のひとのところへ行ってしまうんでしょう?
それがまるでこの世が出来た瞬間から決められていたことのように
自然に差し出された彼の手を、あなたは嬉しそうに取るのでしょう?

自分の内にある恋心を知っていつかお下げ頭がほどかれる頃、私はこの部屋の中で鋏を
探してしまうのかもしれない。
その鋏が切るのは赤い髪、それとも青い髪なのかしら。

お願い、つばめ。銀色にひかるふたつの羽を持ったつばめ。
お願いだから、この部屋には降りてこないで。
学園のみんなが罹った風邪は、もうすっかり姿を消したけれど。
私のこころがひいた風邪は、いつ治るのかしら?


二代目拍手。アグレッシブながらも自分と環境の変化、変質を容認しているレイン。
文中のレインの独白の一部分に私の粘着質さが現れているような気がしないでもないです。





「恋とはどんなものかしら」

そしてお姫様と王子様は末永く幸せに暮らしました、終わり。
「素敵よね〜!運命の人とめぐり逢って恋に落ちて結ばれる、なんて。女の子の夢だわ〜」
「…………そうかなあ……あたしはよくわかんないけど」
「ファインはまだ子供だからよ。いつかはファインだって好きな人と結ばれる日が来るのよ?」
「そ、それはそうかもしれないけど……でもさ、やっぱり一回会っただけの人と結婚しちゃうのって
 変じゃないかなぁ?だって、結婚するんだよ?それからずーっと一緒にいる人なんだよ?」
「そう?たとえ一瞬しか会ったことがない人でも、それでも永遠に一緒にいたいって思うのが
 恋なんじゃないかしら……やん、惚れ惚れしちゃう」
「レイン、ベッドの上でぐねぐねすると危ないよぅ」

だって、あたしの好きなものをその人がもし、好きじゃなかったら?
たとえばあたしの大好きな赤を、その人がもし嫌いだったら?
レインは、好きな人と同じものを好きじゃないことが怖くないの?

恋なんて一生できなくてもいいよ。
拒絶される瞬間を含んだ永遠なんていらない。
あたしと一緒に笑ってくれるあなたがいれば、それだけで。


二代目拍手。レインと違って、自分と環境の変化変質そのものを拒絶するファイン。
私が勝手に感じているふたごの性質の違いはこんな感じです。





「放課後の音符」

「4×3」
「ええっと、うんと、じゅう……に」
「4×4」
「……じゅうろく…………で、合ってる?」
「合ってる。4×5」
「じゅうはち!」
「やだわ、ファイン。4×5は21よ〜」
彼は、手元にあった教科書で遠慮なく赤い頭と青い頭をはたいてやった。実にいい音がした。
「いったあ!」
「女の子の頭に向かって何するのよ!」
「そんなご大層な頭ならもっと有効利用してやれ。ふしぎ星どころか、全宇宙一プリンセスらしくない
 プリンセスの称号まで襲名するぞ」
……はぁい。
全くこのふたごときたら、顔のつくりも返事のタイミングも、晴れ晴れとした頭の中身までそっくり
そのままなのだから。
出来の悪い生徒を一気に二人も抱える羽目になった彼としては、溜息を吐くほかはない。
「うう、シェイドってば教え方がスパルタだよう……」
「ミルキーにはあんなに甘いのに、不公平よね」
「そういうの、“えす”っていうんだよね!」
派手な音を立てて机とキスをした、彼のつむじの辺りをふたごが不思議そうに眺めている気配がする。
「……どこで覚えた、そんな言葉」
「え。さっき、B組の前でブライトに偶然ばったり会って」
「シェイドに勉強教えてもらうんです、って云ったら」

シェイドは厳しいよ、Sだから。

「……って仰ってたわ。さっすが、ブライト様は物知りでいらっしゃるわよね。で、シェイド。
 “えす”ってどういう意味なの?」
青い髪の姉が小首を傾げるのにも構わずに立ち上がる。
可能な限りの速さで、いや、最速でなければならない。

「……B組か?B組だな?奴はそこにいたんだな?」
「え、あ、う、うん」
「あ、でも。もう多分いな……」
「明日までに四の段までは完璧に覚えて来い。残りは自習だ」
彼の姿が教室の戸に消えるまで、おおよそ数瞬。コースレコードは樹立されただろうか。

「……シェイド、いつもの鞭持ってたね」
「あれ、学園にまで持ってきてたのね」
「でもさあ、ブライト、もうB組にはいないよね」
「そうね。部活があるし」
「あの二人、いつの間にあんなに仲良くなったのかな」
「さあ?でも、みんな仲良しなのはいいことよ」
ねー、と九九をそっちのけで王子二人の友情についてお喋りの花を咲かせるふたごの会話は
勿論彼の耳には届かなかったが、この世には知らずにいたほうが幸せなことも少なからず
あったりするのだ、多分。


二代目拍手。馬鹿話。カプ要素もなし。溜息つきながらふたごの面倒を見るシェイドがツボ。
ついでにシェイドいじりが楽しいブライトもツボ。思わずウホッとか書いてしまってビビる。



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